東京と富士を繋ぎながら、新しい働き方を可能にする
~株式会社オールコセイ 富士ファーム~

  • Facebook
  • Twitter

「一人でも多くの方がその地域で安心して暮らせるように」というテーマを大きな指針にして、現在は昆虫事業や移動スーパー事業を行っている『株式会社オールコセイ』。本社を東京に置きながら、昨年7月、富士市に活動拠点となる富士ファームを開設、代表の浜地さんと共に創業メンバーであり、現在は富士市に移住して事業部長兼富士ファーム長をされている早川 貴規さんにお話を聞きました。

株式会社オールコセイ事業部長兼富士ファーム長 早川 貴規さん

温暖な気候と土地柄が決め手となり、活動拠点を開設

本社は東京にありますが、創業した3人の中には、都外とは違う地域で活動をしていきたいという思いがありました。昆虫事業に挑戦してみようというのも同時期に話し合っていたことです。静岡県内外を含めて候補を探していましたが、コオロギを養殖するにあたり一年を通して気候がよく暖かい地域が望ましかったこと、山間部などで買物に困っている方々に対して移動スーパーをしたいと考えた時に、近年バス路線が減少していて需要が見込めることなど、土地柄も含めて富士市に決めました。

富士市にファームを作ると決めた後、Beパレットふじ(富士市地域産業支援センター)を始め、商工会議所やWORX富士(富士市のコワーキングスペース)などに相談にいき、色々な方を紹介していただきながら、繋がりを広げていきました。

個人としても会社としても、周りの方々のアドバイスで不安解消

個人としては、移住自体が初めてで、私生活も本当にゼロからのスタートだったので不安もありました。富士市には、とても穏やかで親切な方が多く、引越しのときからご近所の方に情報をいただいたりと、まわりの方々に助けられているなと感じています。富士市は景色もよく、ツーリングしてる方が多くて気持ちよさそうだなと思ったので、バイクの免許を取り、バイクも購入して、休みの日に港や山に行っています。キャンプ場もバーベキューも近くにあるし、釣りもできますし。朝、公園巡りをすることもあります。頑張って働きながらうまくストレス発散もできる、ワークライフバランスが保ちやすい地域だなと感じています。

会社としては、他の地域から突然来て、受け入れてもらえるのかなという心配もありましたが、市役所、Beパレット、地元の信用金庫など、たくさんの方に相談に乗っていただき、その都度アドバイスをいただけるので会社としてとても運営がしやすいなど、開業して富士市に来てから気づくことが多くありました。また、移動スーパーとして、皆さまのところへ商品を販売に行っているはずが、逆に、野菜を下さる農家の方がいらっしゃったり、「これ食べてごらん」と、手作りのものをいただくことも多かったりと、とても温かい方が多いなと感じています。

本社との連携はスムーズに、富士市での交流や繋がりに積極的に参加

本社にいるオールコセイの代表、副代表とは前職で同じ会社で働いていたこともあり、離れていても信頼しあえる関係が続いているので、コミュニケーションに困ると感じたことはありません。現在は、東京の本社を含めると従業員は7名いますが、代表、副代表とは週に1度はWeb会議をしていますし、本社からも定期的に富士市に来てくれるので、そのときに顔をあわせて会議をすることもあります。他には、こまめに電話やメールで連絡を取り合うことで補っています。逆に、私自身は東京には全然行けていないんです。今年の7月に昆虫食がコンセプトのカフェ「BUGTIME」が東京上野に開店しました。そこではコオロギを使ったお菓子を始め、クラッチコーヒーやケーキのほか、富士市の名産品も置いてあるため、早く見に行きたいなと思っています。

富士市の交流・イベントは活発に参加

企業間の繋がりとして、ワークス富士で定期的に行われているビジネス交流会に参加しています。市民の方との交流としては、キッチンカーにコオロギのお菓子を乗せて、イベントやショッピングモールで販売をしたり、市内の小学生親子を対象にワークショップを開催しています。虫の日の6月4日、8月にも、養殖体験やコオロギパウダーを使ったクッキーを一緒に作ったりする学習活動をしました。リアルなコオロギ姿のお菓子も店舗から持っていくと、お子さん達は、それを見て最初は「ギャーッ!!」と悲鳴をあげたりもするのですが、食べてみるとおいしい。そう言ってくださったりして、開催している側としてもとても楽しいです。

昆虫食の周知を強化、ソーシャルファームを目指す

昆虫事業については、お問い合わせをいただくことが増えて、まずは生産量をどんどん上げていきたいと言う思いがあります。まだまだ不認知といいますか、昆虫食となると受け入れがたいところもあるので、おいしさの魅力ですとか、栄養素として体にも良いところなどの周知を強化していきたいなと思っています。移動スーパーについては、まだまだ富士市のなかで網羅できていない場所もあるので、買い物を楽しんでいただける機会を増やしていきたいです。会社としては、もともと働きにくさを感じる方々(障害はあるけど手帳がでなかった方、片親の方で短時間しか働けない方、外国から来られた方、制度になかなか入れないはざまの方々)などの雇用にも繋げたいという思いがあり、ソーシャルファームを目指して運営していますので、業務が拡大するに伴い、色々な業務ができていく中で、従業員数や雇用の数も増やしていけたらいいなと思っています。