地元で叶えるUターン開業!
農と食の未来を創る「FARMSHIP(ファームシップ)」
富士市で活躍している企業を紹介する本企画では、事業の成長過程で直面した課題をどのように乗り越えたのか、など企業活動の様々な疑問をお伺いしていきます。
今回は、企業に対して植物工場事業への参入支援を行い、本格的な大規模生産拠点としては国内初となる倉庫リノベーションモデルの完全人工光型野菜工場を富士市で実現した、株式会社ファームシップ(FARMSHIP)代表取締役、北島正裕(きたじま まさひろ)さんにUターンでのきっかけや未来の農業について取材してきました。
富士市から次世代の農業を広げたい
富士市に富士山グリーンファームを開業した経緯をお聞かせください
父方が富士市で代々農家を営む家系で、私自身も実家は富士市にあり富士の生まれです。高校卒業後は明治大学の農学部へ進学し、東京で一般企業に就職しましたが、昔からずっと持ち続けていた新しい農業の形を創りたいという気持ちが高まり、東京で起業しました。とあるご縁から、食品流通企業の物流倉庫だった跡地のリノベーション企画が持ち上がり、2017年、当社グループが手掛ける3つ目の拠点として工場野菜を生産する富士山グリーンファームを開業することになりました。
富士市に工場があることの利点は何でしょうか
富士市は、国道一号線や新旧の東名高速道路といった主要な幹線道路があることに加えて首都圏や中京圏にも2時間程度の距離にあり、地理的優位性が高いことが魅力です。そのため、工場で収穫した野菜は全国に素早く出荷することができます。また、製造業が盛んであることに付随して物流倉庫が多いことも特徴です。弊社は物流倉庫の跡地をリノベーションすることで一から野菜工場を竣工するよりも初期コストを抑えることができました。富士市で新規事業を始める企業にとっては、リノベーションさえすれば活用できる建物が多いことは利点の1つだと思います。
創業してから大変だったことはありましたか
弊社は、富士市以外にも工場や拠点があるため、社員同士のコミュニケーションを図ることに苦労しました。ただ、幸いにも富士市には新幹線も止まりますし、東名高速、新東名高速からの距離も遠くありません。ですので、コミュニケーションの一環として富士市に社員を出張させる機会をあえて設けたり、全社交流会を開催したりしました。コロナが流行し、大勢で集まることが難しくなってからは、社内報の発行や動画配信を定期的に実施することで少しずつコミュニケーションにおける課題を解決していきました。しかし、物理的に距離が離れていることは社員間の心理的距離を生むことにつながるため、今後は富士市と本社(東京)を拠点とした組織の再編を図る予定です。
工場で収穫した野菜はどちらで販売されていますか
工場敷地内のコンテナ型の直売所(営業曜日:火、木、土、日、営業時間:9:30~12:30)で販売しているほか、富士市や静岡県内、首都圏の小売店でも販売されています。一部、コンビニベンダー様向けの野菜も生産しており、全国各地に生産した野菜をお届けしています。
生産品目としては主にレタスやバジル、ケールなどのリーフ系の野菜を販売しています。水耕栽培をしているため瑞々しく、柔らかいのが特徴です。食べてみると味がしっかりしていて、えぐみが少なく年齢問わず食べやすいとご好評いただいてます。
地球に優しい会社を目指して
今後の展望をお聞かせください
生産活動における排出物を限りなくゼロにすることを目指した「ゼロエミッション」を推進しています。そのため、温室効果ガスの排出を減らすことを目標に自然エネルギーの活用や、産業廃棄物を減らすための処理装置の設置を行っています。継続して取り組むことで、ゼロエミッションを推進し富士市から先進的な農業を発信していきたいと考えています。
北島さんが思う、富士市で働く魅力は何ですか
ここは北に富士山、南に駿河湾と風光明媚な土地なので、自然豊かな環境で仕事をできることが最大のメリットではないかと思います。大きな公園や魅力あるお店もたくさんあるため、休日の楽しみには事欠きません。仕事とライフスタイルの両立を図ることができるので、ワークライフバランスを重視する方にもおすすめです。ぜひ、みなさんにも富士市で働く楽しさを実感してほしいです。